体外受精で良好胚盤胞移植を行いましたが、妊娠にいたりません。妊娠しない理由は何でしょうか?
■卵の染色体異常が原因の場合が多い
妊娠しない原因として考えられるのは卵の染色体異常ですね。着床障害というケースもありえますが、まず考えられるのは卵の染色体異常です。
卵ができたとしても、すべて良質とは限りません。たとえ見ためはきれいな胚で、これなら妊娠するかも...と思って移植しても、妊娠しないこともめずらしくないのです。もちろん、見ためがきれいな胚のほうが染色体異常の保有率は低いのですが、ゼロというわけではありません。見ためはきれいでも染色体異常の場合もあります。
実際の治療でも見ためのきれいな良好胚を選んで移植するわけですが、妊娠しないことも多々あります。1~2回移植しても妊娠せず、3回目の移植で胚を2個移植して、やっと妊娠にいたるというように、何回か繰り返すうちに結果が出るものです。
■染色体異常は着床前診断をすればわかるけれど...
卵の染色体異常を確認する方法として着床前診断がありますが、日本では、重い遺伝性疾患の可能性がある場合と、流産を繰り返す不育症の場合にしか認められていません。それも日本産科婦人科学会に申請をして認められた場合のみ受けることのできる検査です。
海外では広く着床前診断が認められている国もありますが、だからといって胚移植をする全員に検査を実施しているわけではなく4~5割程度といわれています。海外の場合、若い方の良質の卵を使って妊娠を目指すケースもめずらしくありませんからね。
これに対し、日本は自分たち夫婦の胚で妊娠を目指したいという考えが根強いといえます。そのため年齢が高くなるにつれて、なかなか妊娠しにくいのが現状です。
■良質な卵ができるのを待つ
卵の質は年齢が深く関係しています。年齢が上がれば上がるほど卵の質は低下してしまいます。そして、いったん低下してしまった卵の質を改善するのは難しいといわざるをえません。
ただし、周期によって育ってくる卵の質は異なります。良質な卵ができることもありますから、そのチャンスを待つことになりますね。