卵子の質をあげることはできますか?
■卵子の質は周期によって異なる
卵子の質をあげることは、なかなかできないといわれています。質をあげることはできないけれど、自然に育つ卵子の質は周期ごとに異なります。今回、卵子の質がよくなかったから、次周期も悪いとは限りません。患者さんのコンディションやホルモンのバランス、卵巣のホルモン環境などによって、良くないときもあれば、良いときもあります。
■複数の卵を育て質のよいものを確保する
一般的に多嚢胞性卵巣でホルモン環境が悪い方は卵子の質が落ちやすいといわれます。
ですから、排卵誘発剤といった薬を使って卵巣を刺激し、複数の卵を育てて採卵し、体外受精をするのも、ひとつの方法です。複数の卵のなかに質のよい卵があるかもしれません。もちろん、過剰に卵巣刺激をする必要はありませんが、複数の卵のなかに1個でも2個でも質のよい卵があったら、それだけ妊娠のチャンスは広がるでしょう。
一方で自然周期を採用しているクリニックは自然に育った卵がベストだという考え方です。ただ、自然に育ったほうが卵子の質があがるかというと別問題でしょう。こればっかりは、その周期に育った卵次第といえます。
■受精卵の一部に異常な細胞があっても妊娠は成立する
卵の質を測るものとして、染色体異常があげられます。染色体異常がなく正常なものが質のよい卵子、染色体異常のあるものが質のよくない卵子ですね。
ただし、着床前診断で受精卵に染色体異常があるかどうか確認すると、モザイク型というものがあります。受精卵のなかに正常な細胞と異常な細胞の両方があるのがモザイク型です。
この場合、正常な胚より妊娠率は低くなりますが、無事着床して流産することもなく、出産にいたるものもあるといわれます。ですから、着床前診断で卵子の質や妊娠の確率を正確に見極めるのは難しいともいえます。
ただし、一般的に卵子の質をあげられるか否かといったら、質をあげるのは難しいといえるでしょう。