診察では卵胞が十数個見えていたのに、実際に採卵できたのはわずかでした。空胞が多い人と少ない人の違いは何ですか? 空胞になってしまう原因は何でしょうか?
■血管が卵胞のように見えることも
十数個の卵胞を確認したのがいつなのかによって説明は少々かわってきます。もし、月経周期3日目で左の卵巣に7個、右に4個、卵胞状のものが確認できたとしましょう。ただ、その全部が卵胞なのかというと、そうとも限りません。血管が卵胞のように見えることがあるからです。患者さんはせっかく見えていた卵胞が消えてしまったと残念がるのですが、実は卵胞ではなかったのです。
採卵間際で十数個の卵胞が見えていた、エストロゲンの値は1000を超えていたとなると、おっしゃる通り卵胞だと思います。ただし、採卵できたのは3個のみとなると大半が空砲だったと考えられます。
■多嚢胞性卵胞だと卵胞はたくさんできても採卵数は少ないことも
空砲になる方と、ならない方の違いというのは、難しいのですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方が卵巣刺激した場合、空砲になる確率は高めです。多嚢胞性卵胞だとマイルドに刺激をしても20個以上、多い方だと50個近く卵胞ができることがあります。でも、いざ採卵となると、ほとんど採れないことも珍しくありません。
多嚢胞性卵胞で生理が来ない方の場合、刺激が弱いと卵はまったくできません。なので、刺激をやや強め、マイルドの範疇でも若干強めにすると、20~30個程度の卵胞ができます。
ただ、いざ採卵となると吸っても吸っても卵が採れない。この原因が何かを特定するのは難しいのですが、発育段階で胚の成長が止まってしまって退縮してしまうのか、もしくは、もともと胚がないのだと思われます。
採卵のタイミングが少し早いと採卵できないこともあるのですが、このことは専門医は把握しているので、早めに採卵することはまずないでしょう。
■年齢が高くなると空砲が増える
あと関係しているのは年齢ですね。年齢の高い方はもともと卵胞のなかに卵が入っていないケースが多いです。いわゆる空砲ですね。なので吸っても卵が採れない。
ただし、年齢が高い場合は卵胞が十数個も見えることはまずありません。育ってくる卵胞は少なめです。左の卵巣に3個、右に2個程度の卵胞が確認できて、採卵できるのは1個程度が平均的でしょう。
この場合は年齢が原因ですから対処するといっても難しいですね。やはり、年齢があまり高くならないうちに治療をすることが大切です。