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月経がある限り、妊娠できるわけではない

■35歳を過ぎると卵子の約7割が染色体異常

年齢とともに妊娠率が下がるのには卵子が関係しています。

まず、卵の数の減少。卵の数は月に1千個、年間に1万~1万2千個も少なくなってしまうのです。

卵子が保管されているのは卵巣ですが、卵巣にあと卵子がどれくらい残っているかを判断する目安になるのがAMH(抗ミューラー管 ホルモン)値です。

血液検査で測定できます。

同じ年齢でも人によってAMHの値は異なりますが、年齢が上がると卵子の数が少なくなるのは自然なことです。

もうひとつは卵子の質の低下。

30代後半になると顕著に表れてきます。

35歳以降になると7割くらいの卵子が染色体異常を持っていて、妊娠は難しくなります。染色体異常の場合、仮に妊娠できたとしても妊娠が継続して出産にいたることは、ほとんどありません。

もちろん40歳以上でも自然妊娠する方はいますが、全体でみると、40代での妊娠率はとても低くなります。

「月経がある限り妊娠できる」「排卵していれば妊娠できる」というものではありません。

■タイムリミットを迎える前に治療をする

加齢により、低下してしまった卵子の質をもとに戻す、質を改善するのは困難です。

ましてや卵子の数を増やすことはできません。

年齢的に考えても卵子の数は減り、質が低下していると考えられるなら、1日も早く不妊治療をする。これに尽きます。

妊娠にはタイムリミットがあります。

35歳以上の方は早く治療をスタートして、少しでも良い状態の卵子を確保することが妊娠への一番の近道です。

何が何でも体外受精を勧めるわけではありません。

ただ、体外受精や顕微授精といったART治療(高度生殖医療)が普及しても妊娠率は決して高くないのが現状です。

タイミング法や人工授精(AIH)での妊娠率は、さらに低くなります。

不妊の原因はいろいろありますが、年齢が上がるにつれて卵子の質の低下が大きく影響しているのは間違いありません。

となると、やはり早く治療をすることが大切ですし、その重要性を知ってほしいと思います。

■高齢での治療はスピードが重要

年齢が高くなってから治療を始める場合は診療スピードをあげることが大切です。

35歳以下で治療を始めた方と同じようにタイミングからスタートして人工授精(AIH)、その後、体外受精にステップアップをするという方法はお勧めできません。

なるべく早めに体外受精に進んで受精卵を確保することが重要になってきます。

仮に排卵する卵子を取りこめないピックアップ障害があった場合、体外受精以外で受精することはありません。

それを知らずに何周期もタイミングや人工授精をしていたら、それだけ妊娠のチャンスを逃すことになります。

また、卵子は毎周期同じように育ってくるものではありません。良くない周期もあります。そのダメなときに深追いをしないこと。

何周期かに1回、良い周期が来ることがあるので、そのときに採卵する。このほうが妊娠に近づきやすいでしょう。

監修協力とくおかレディースクリニック 不妊カウンセラーが監修しています。