胚凍結は何年できますか?一人目を出産後、夫の海外赴任で5年は移植できず、いろいろあって結局、凍結して9年が経ってしまいました。 二人目を希望しておりますが、この場合、採卵から行うほうが良いのでしょうか?また移植を行う場合、何かリスクはありますか?現在39歳です。
■生殖医学会ガイドラインの凍結期間は最長5年
胚の凍結期間についてはクリニックによって規定が異なります。2年というところもあれば3年というクリニックもあります。生殖医学会のガイドラインでは最長5年を目処としています。
最長5年でも1年ごとの更新が必要といった決まりを設けているクリニックも多いでしょう。凍結を延長するか否か、しっかり確認し、「延長を希望する」という返答があれば、引き続き凍結する。凍結を続けるという意思をしっかり確認することが大切だと思います。
■凍結期間5年超でも胚移植は可能
ご相談の方の場合は凍結期間が9年ですから、5年以上が経過しています。ただし、5年以上だから絶対に移植はできないというものではありません。生殖医学会のガイドラインはあくまでもガイドラインであって強制力はありません。
ご相談のケースでは海外赴任というやむを得ない事情があったこと、さらにクリニックにしっかりと連絡を入れていたのなら、主治医と相談のうえ、移植することも可能だと考えます。
もし、凍結胚を使わずに新たに採卵をしてとなると、年齢が高くなっているわけですから、凍結した当初の卵より、卵の質は低下している可能性が高いです。
凍結胚を使用すると学会のガイドラインからは外れますが、卵の質を考えると凍結胚を使ったほうが妊娠率は高いかもしれません。
どちらを選択するかは、ご夫婦および主治医とよく相談されたうえで判断してください。
■胚移植は生殖年齢内に
生殖医学会のガイドラインである5年はマウスでの実験結果などをもとに規定されたと思われます。胚の保存状態によっては劣化の危険性もあるからですが、実際はマイナス196℃で凍結するので半永久的に質は保たれるでしょう。
凍結期間5年という基準は、むしろ社会的な理由が関係していると思われます。
凍結胚移植に関するガイドラインにはもうひとつ決まりがあって、「生殖年齢であるうちに移植する」とされています。仮に55歳の女性が凍結胚を使って妊娠した場合、妊娠・出産によるリスクは高まります。安全に子どもを産み育てるためにガイドラインが定められたといえるでしょう。