夫が精索静脈瘤だと言われました。不妊の原因になりますか? また、手術は必要なのでしょうか?
■精索静脈瘤は不妊の一因になる
精索静脈瘤は精巣近くの陰嚢部に静脈瘤ができるものです。陰嚢の静脈が拡張した状態で、これが乏精子症を引き起こすことがあるため、不妊の原因になります。通常、精巣はお腹のなかより3度程度低い状態にあり、この環境が精子の産生に適しているといわれますが、静脈瘤があると温度が高くなってしまうのです。これにより乏精子症を引き起こすと考えられています。
■手術で改善する確率は50%
精索静脈瘤だからといって、必ずしも手術が必要なわけではありません。手術をしたからといって精子の状態が改善されるとは限らないからです。半分の方は乏精子症が改善されて精子数が増えるけれど、半分の方は手術をしても変化が見られない、確率は1/2といわれています。
ご主人が精索静脈瘤で妊娠を望んでいる場合、手術を勧めるドクターもいます。もちろん、手術も選択肢のひとつです。ただし、人工授精や体外受精をすることで妊娠を目指すこともできます。ですから、症状が改善されるかどうかわからない手術ではなく人工授精あるいは体外受精を選択するケースも多いです。
■妊娠を目指す方法は複数ある
乏精子症といっても精子数がある程度確保できれば人工授精、数が少ない場合は顕微授精の適応になるでしょう。このように男性不妊の治療は原因そのものを取り除かなくても、人工授精、顕微授精といった方法で対応可能です。重度の無精子症で精巣から精子を採取するのも難しい場合は第三者の精子提供を受けて非配偶者間人工授精(AID)という選択肢もあります。
このように精索静脈瘤であっても、治療法はいくつか考えられます。乏精子症の状態も関係してくるでしょうが、ご夫婦でどのような治療を選択するのか、主治医の意見も聞きながら、相談してみてください。